北海道神宮 頓宮 奉納演舞 演目解説

奉納演舞の演目解説を掲載しました。
仕舞や謡が次々と演じられますので、
演舞の合間の参考にご覧ください。

①高砂 待謡

発声 鈴木涼子

結婚式でも謡われる大変縁起の良い謡の一節です。
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物語は阿蘇の神主友成が上京の途中に高砂の浦に立ち寄った際、相生の松の精である老人夫婦と出会うところから始まり、夫婦愛、長寿の理想をあらわした謡曲の代表作だといわれています。

引用:高砂市ホームページ
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②鶴亀 素謡

シテ 杉村直孝
ワキ 鳥羽優伽
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古の中国玄宗皇帝の御代。四季の節会の事始に、百官卿相一億百余人が参内すれば、恒例とあって鶴と亀とがめでたい祝賀の舞を舞い、皇帝もまた自ら月宮殿に遊舞の楽を奏して還御なるまでを描く、大らかで清々しい能。

引用:能楽協会 曲目データベース
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③高砂 キリ

小川知慧

名木“相生松”の演目。
高砂浦と住吉浦の松は同根であり、夫婦は遠く離れてなお心を通わせているのだと言う。緑を湛える松の葉こそわが国に栄える和歌の“言の葉”の象徴であると謡う名曲。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

和歌の守護神・住吉明神(後シテ)が出現した。明神は、神徳を顕わして颯爽と舞を舞うと、人々に寿福を与えて治まる御代を祝福するのだった。
(文:中野顕正  最終更新:2022年08月11日)
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④吉野天人 キリ

鈴木涼子

都人が連れ立って春の吉野山を訪れ、花を友として暮らしているという女に行き会う。女は自分は天人であると明かし、今夜この花のもとに旅寝すれば五節の舞を見せようと告げて消えた。やがて天空から音楽が聞こえ、天人が天下ると花の中で舞い遊ぶ姿を見せる。

引用:能楽協会 曲目データベース

⑤賀茂 キリ

鳥羽優伽

上賀茂の祭神・別雷神が来臨し、恵みの雨を降らせて豊饒の秋をもたらす演目。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

その時。空には雷鳴が轟き、辺りは一時に震動する。上賀茂に住まう別雷神(後シテ)が、この地へと来臨したのであった。「我こそは、王城を守護し、国土に豊饒を与える神。風雨を操り、稔りの秋をもたらすのも、全てはわが神徳なのだ」 稲妻が閃きわたり、恵みの雨が降りそそぐ、夏の夜。雷神は天空を自在に飛び廻り、神の威光を顕示する。
やがて、神徳のほどを見せた御祖明神は、社の方へと帰ってゆく。雷神はそれを見届けると、雨雲を押し分け、天高くへと昇っていったのだった。
(文:中野顕正)
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⑥橋弁慶 素謡

シテ 萩中留美子
トモ 小山田ゆき
子方 鈴木涼子
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

毎夜の五条天神参詣を続けていた武蔵坊弁慶(前シテ)は、満願の日、従者(トモ)から今夜の参詣を控えるよう進言を受ける。聞けば、最近五条橋には不思議な少年が現れ、神業のような身軽さで通行人を斬って廻るのだという。それを聞いて一度は決心の揺らぐ弁慶だったが、そんな噂に怖れをなしては無念と、彼は改めて今夜の参詣を決意する。
その少年こそ牛若丸(子方)。これまで武芸に明け暮れていた彼であったが、母の誡めを受け、五条橋へ行くのも今夜限りとなっていた。牛若が橋で通行人を待っていると、そこへ弁慶(後シテ)がやって来た。すれ違いざまに弁慶の長刀を蹴上げて挑発する牛若。弁慶は戦いを挑むが、牛若は大剛の弁慶すらをも圧倒し、遂に彼を打ち負かしてしまう。降参して相手の正体を知った弁慶は、牛若との間に主従の契りを結ぶのだった。
(文:中野顕正  最終更新:2019年03月26日)
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⑦安宅 キリ

杉村直孝

源義経、弁慶の一行が逃避行の途中、安宅の関を越えるスリリングな演目。
山伏に扮する一行と怪しむ関守の富樫。
宴を終え、一行は颯爽と安宅の地を後にする。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

やがて頃合いを見計らい、弁慶は一同に合図を送る。義経をはじめ一行は足早にその場を立ち去り、弁慶もまた荷を担ぐと、早々に富樫へ別れを告げる。
こうして、危うい所を逃れた義経一行は、奥州へと旅立っていったのだった――。
(文:中野顕正  最終更新:2017年08月)
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⑧田村 クセ

萩中留美子

京都 清水寺 田村堂
開基・坂上田村麿の演目。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

四方の景色を眺めるうち、興趣を催した少年。彼は、花に浮かれて舞いだした。
——花の都の名に恥じぬ、春の京の風情。万物は緑の色を増し、のどかな風が音羽の滝を吹き抜ける。いつ見ても飽きることのない、地主権現の桜の色。それこそは、この世に生きる者達を救おうとの、観音様の願いのすがた。濁らぬ清水の流れこそ、その誓願の空しからぬしるし。みずみずしい色を湛えるのは、楊柳観音が変じた柳の葉。洛中洛外は春一色、のどかな日の光はまるで、天も花に酔っているよう…
(文:中野顕正  最終更新:2022年01月07日)
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⑨草子洗小町 キリ

小山田ゆき

平安時代。内裏での歌合わせで小野小町を陥れようとした大伴黒主。小町が、これも歌道への熱い思いゆえだと取りなし、黒主の罪を許し、祝福の舞を舞う。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

烏帽子を着し、治まる御代を言祝いで舞を舞う小町。折しも明け方の日の光のもと、松の葉は鮮やかな緑を湛え、四海の波は穏やかに、国土万民は平和で豊かな日々を謳歌する。神代にはじまる歌の道。そんな神々の加護を受けて、御代の春はいつまでも長閑に続いてゆく。これも皆、この国に伝わる和歌の徳なのであった――。
(文:中野顕正  最終更新:2019年05月)
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⑩小袖曽我 キリ

鳥羽優伽 小川知慧

鎌倉時代に富士野で起きた曾我兄弟の仇討ちを題材にした演目。
父の仇を討ちに行く、兄弟の物語。
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引用:銕仙会 能と狂言 曲目解説
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kosodesoga

舞を舞いつつ、顔を見合わせる二人。思えば、これが母との今生の別れ。尽きぬ涙を押さえ、二人は名残りを惜しむ。そうするうち、早くも出発の時刻。兄弟は母に暇を請うと、そのまま狩場へと向かってゆく。目指すは父の仇、向かうは富士の裾野の狩場。今こそ、胸にくすぶる恨みの煙を晴らし、名を後代に留めるとき。二人は、運命の地への思いを胸に、勇んで出発してゆくのだった。
(文:中野顕正)
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